3Dプリンタって、騒がれすぎだし、どんな使い道があるのかよく分からない。そんな声が頻繁に聞こえてきます。でもそれは黎明期の技術だからとも言えます。この技術で何か面白いことをしてやろう、そうやってみんな頭をひねっているんですよ。いつも業界をウォッチしている私が、これはすごいと思ったアイデアを7つご紹介したいと思います。
そもそも3Dプリンタって何?
先に少しおさらいをしましょう。現在普及している3DプリンターはFDM(Fused Deposition Modeling:熱溶解積層)法と言われるものです。FDM方式とは、PLA樹脂やABS樹脂のフィラメントを熱で溶かして天地方向へ積層していき造型をおこないます。
http://3d3d3d.net/3dprinter.html
FDM方式の特許が切れたのが、2009年です。そこから爆発的普及を始めました。今では3万円を切る値段で、家庭用3Dプリンタを購入することが出来ます。家庭用ではなく、産業用における3Dプリンティングの活用領域は、工業製品の試作、ニッチな高額オリジナル製品の製造、医療、航空宇宙産業といった領域となります。現時点ではそういうことになりますが、すごいアイデアで壁を打ち破る人がそろそろ出てきそうな気がします。
1.3Dプリンタで建築
http://idarts.co.jp/3dp/dubai-3d-print-office/
宇宙船みたいな丸っこい外観にギョッとしますが、多分建築家が未来感を出したくてわざとこんなデザインにしたんでしょう。この報道の要点は、型枠なしで鉄筋コンクリート建築が出来るという点ですね。建築が工場で効率的に大量生産できるようになる。そのうち大きなビジネスになるのかもしれませんね。
2.3Dプリンタでバイクのフレーム開発
http://www.gizmodo.jp/2016/05/525airbus3d.html
複雑な中空構造で強度を確保させて、3Dプリンタによるバイクフレーム製作に挑戦したケースです。試作にとどまらず最終製品の製造で3Dプリンタを活用することは誰しもが考えますが、なかなか実現には至りません。報道されているのはエアバス社ですから本当の狙いはバイクではなく航空機への応用でしょう。これだけ本気で取り組んでいたら想像より早く実現するのかもしれませんね。
3.3Dプリンタでデジタル日時計
http://buzz-netnews.com/digital_sundial
日時計なのにデジタル表示。個人のアイデアを形にしてそのまま製品化したものです。ナイスアイデアに膝を打ちたくなりますね。海外版のminneみたいなサイトEtsyで販売しているようです。3Dプリンタで出力した直後は、フィラメントの積層跡がザラザラになっています。綺麗にペーパー掛け&塗装をすると手間が掛かりすぎて、商品として販売するには手間賃を多めに取らざるをえません。この製品は表面仕上げをおこなわず、3Dプリンタで出力したそのままで販売しています。アイデアで勝負しているからこそできるスタンスですね。ちなみに3Dデータ自体は無償で公開されていますよ。3Dプリンタをすでにお持ちの方はどうぞ。
4.3Dプリンタで射出成型
個人的には是非実現して製品化してほしいアイデアです。ところで射出成型ってわかりますか?
射出成形(Injection Molding)とは、加熱溶融させた材料を金型内に射出注入し、冷却・固化させる事によって、成形品を得る方法です。 複雑な形状の製品を大量に生産するのに適し、成形加工の一大分野をなしています。
上のアニメーションGIFで、黄色であらわされる金型部分を3Dプリンタで作ろうとしています。金型を作るのってすごく費用がかかるんですよ。それこそウン百万円とか、あるいは桁がさらに上がったり。でも3Dプリンタで出力した型を使って射出成型ができれば、すごくコスト削減ができますね。金属型よりも耐久性が低くても、コストが少なければペイしそう。この射出成型装置自体の値段も2500〜4000ドル程度で販売する予定みたいだし、個人でモノづくりをやっている人でも、製品の大量生産ができる時代がやってきますね。
5.3Dプリンタ造形物へ塗装するすごい方法
http://www.gizmodo.jp/2015/05/3d_178.html
こいつは3Dプリンタを使ったアイデアでは無くて、出力した立体成型物へ塗装をおこなうアイデアの紹介です。水の上に浮かべた絵の具で絵を描く「マーブリング塗装」という方法があります。サイケな柄のギターの塗装などによく使われる技法だそうです。ここで紹介した方法は、造形物が水面に沈む際に、三次元のどの位置が、二次元のフィルム絵の具でどの位置になるかをマッピングさせる必要があります。ソフトウェアで画像処理をうまく活用した事例ですね。
6.3Dプリンタで身近なインテリア
http://blog.nakatanigo.net/interior_goods/50838582
ペットボトルにかぶせるだけで可愛らしい花瓶の出来上がり。個人の創作意欲を簡単に形にしてしまう。家庭用3Dプリンタの正しい活用法だと思います。
7.3Dプリンタでおみやげ開発
http://ag.hatenablog.com/entry/2016/03/18/005349
この事例は、鄙びた離島でお金をあまりかけずにおみやげ品を作ろうという人の記録です。個人が3Dプリンタを活用する事例としてとても面白いと思います。というかこのブログのエントリーは読み物としても面白いし、情報としてすごく参考になります。
隠岐・西ノ島に移住してから、「西ノ島お土産開発プロジェクト」と称してひとりで勝手にやっているのですが、第一弾として西ノ島町のゆるキャラ「活イカ活っちゃん」のフィギュアストラップを製作してみました。
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現在は西ノ島町観光協会(西ノ島町別府港第2ターミナル1F)で販売していますので、観光などでお立ちよりの際はぜひご覧くださいませ。 また、西ノ島町の地域振興課でも扱ってもらえることになったので、本土でのイベントでも販売される予定です。
3Dプリンタでおみやげ開発 - 離島プログラマの雑記
3Dプリンタで町おこし。住民や行政を巻き込んで、やってる本人は楽しくて仕方がないと思いますよ。すごいですね。
*3Dプリンタならば、FLASHFORGE社のDreamerがオススメです。とにかく安定していて、安心して造型できる定番の人気商品です。私も愛用していますし、7番目のおみやげ開発の方も使っていますね。
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