あなたは今自由ですか?
もし自由でないと感じているなら、自由をチャージしにいきませんか?
大阪の西成区にココルームという一風変わったゲストハウス・カフェがあります。人間は本質的にもっと自由で、ゆるい存在であることを思いおこさせてくれる不思議な空間です。
ホームページではココルームをこのように紹介しています。
地域に根ざしながら、さまざまな人々と出会い、社会に関わり、表現と学びあいの場づくりを行うココルーム。
暮らし、仕事、関係性の中で、それぞれの人が正直にありのままに生きることをお互いに大切に、そして社会と接続する仕事場として活動しています。
ゲストハウスやカフェのフリをして「こんにちわ」。
これは、出会いがたくさん生まれるようにと願う、わたしたちの働き方です。
多様な出会いは面倒なこともあるかもしれません。
考え込んだりしながら、ひとつひとつの出会いを重ねて、人生を深くしていきたいと思います。
ココルームがある街 西成
大阪の西成といえばどんなイメージでしょうか。
通天閣・新世界・串カツと安酒・ドヤ街・色街。
昼間からハメを外して酒を浴びるように飲んでも誰にも咎められない空気。夜になったらドぎついネオンサインに彩られて益々活気を増してきます。ここはステレオタイプな大阪が現実に存在する唯一無二な場所です。
その西成でも最もディープなエリアといえば、釜ヶ崎から飛田にかけてのエリアでしょう。ココルームは、その飛田本通り商店街の中にあります。
飛田と聞いて一瞬身構える人もいるかもしれませんが、色街の飛田新地とは高速道路を挟んで離れているので、妖しげな雰囲気はありません。明るいし、人通りも多いので、それほど心配しなくても良いでしょう。
1階はカフェ
入り口から入ると奥がカフェスペースになっています。手作り感いっぱいの佇まい。愛想良くキビキビ働くスタッフと自宅のように寛ぐお客の対比が面白い。
天気が良かったので野生的なお庭を眺められるテラス席に座りました。とびきりの笑顔で接客してくれたのが代表者の上田假奈代さん。着物姿がよくお似合いです。詩人・アーティストであり社会活動家でもある彼女は気さくを絵に描いたような御仁。オススメをお聞きするとノンアルコールのモヒートだと教えてくれました。それを注文すると予想外の言葉が。
「では一緒に作りましょう!まずは庭のミントを摘んでくださる?」
屈託のない笑顔で頼まれたら、こちらも笑顔を返すしかありません。
摘んだミントは軽く洗って、砂糖をまぶしてよく潰します。そこにソーダ水や柑橘系飲料を混ぜてモヒートをつくりました。
お庭を眺めながらいただきます。自分でつくったからか余計に美味しく感じてしまいました。庭から入る風が心地よい。なんか東南アジアあたりのカフェに来ている気分になります。友人とのおしゃべりも弾みますね。
野生的な庭
庭で子供達が遊んでいます。スタッフのお子さんなのか、はたまた近所の子なのか。人口密度が日本一とされる西成では貴重な開放的で癒しの空間です。
庭の横には図書室があります。
本が好きな人は時間を忘れてゆっくりと読書三昧ができますね。 あと図書室内にはなんとクラゲがいます。
このクラゲ実は本物ではありません。在阪の大手電機メーカーにいた研究者が、上司に面白いものを作れって言われて、人工筋肉を作ったそうです。「アホかそんな変なもんつくんなや」ってその上司に怒られたことに憤慨して、会社を辞めて独力で研究をしているそうな。そんな反骨の人物の努力の結晶がこの人工筋肉のクラゲちゃんなのです。 ココルームの図書室に安住の地を得て、毎日元気に泳ぎ回っています。
アートなゲストハウス
上田さんがゲストハウス内を案内してくださることになりました。
まず目に付いたのが階段の踊り場にあるアート作品。
これらはココルームが主催する釜ヶ崎芸術大学(という名前の誰でも参加できるワークショップ)の生徒さんの作品です。つまり市井の釜ヶ崎のおっちゃんが作ったもの。
学びたい人が集まれば、そこが大学になる
このコンセプトのもと、釜ヶ崎では、することがない、話し相手がいない、朝から酒を飲むしかないというような行き場をなくした無目的な多くの人たちにアートを通じて目的や生きがいを提供する取り組みをおこなっているんです。ココルームはアート作品で埋め尽くされていますが、その多くが釜ヶ崎芸術大学の生徒さんの作品です。上田さんは、その功績により2015年度芸術選奨新人賞(芸術振興部門)を受賞されています。
ドミトリー(相部屋)
経済的に宿泊するならドミトリー(相部屋)がオススメです。1泊2500円で宿泊できます。安いですね。偶然知り合った縁のない旅人同士が、話に花を咲かせる。それがドミトリーの醍醐味でもありますね。基本的に男女は別部屋です。
シングルルーム
プライバシーを確保したい、静かな環境で宿泊したい。そう考える方はシングルルームもあります。1泊3500円。これまた安いですね。
シングルルームは、詩人の部屋、歌人の部屋、俳人の部屋とそれぞれ個性があります。例えば詩人の部屋には、谷川俊太郎さんがこの部屋に滞在した時に作った詩が置かれています。机の上には連詩のノートが。詩の続きを是非書いてみてださい。あなたも谷川俊太郎作品の一部になりましょう。
スペシャルトリプルルーム
芸術家森村泰昌さんの作品で埋め尽くされた部屋です。上田さん曰く
よく眠れたという人もいれば、顔が気になってまったく寝れなかったという人もいた(笑)
とのことです。森村泰昌さんの著名な作品集である「なにものかへのレクイエム」。作中のレーニンの扮装は、ここ釜ヶ崎で撮影されました。森村泰昌さんは釜ヶ崎芸術大学の講師も務めており、ココルームに深く関わるアーティストです。1室3名までで一泊12,000円となります。
※各部屋は、金曜、土曜、祝前日は300円プラスの料金となります。夏季、年末年始など特別料金となっている期間があります。また連泊の方優先となっております。ご了承くださいとのこと。
共用スペース
宿泊者は1階のゲスト用キッチンを自由に使うことができます。自炊で節約ができますね。
洗面やトイレ、シャワールームといった水回り設備は清潔で使いやすいです
廊下も釜ヶ崎のおっちゃんが書いたアートで埋め尽くされています。2階は竜宮城がコンセプト。カラフルですね。
3階の廊下には、ちょっとした休憩スペースがあって窓から空をを眺めながら歓談することができます。ここはいい感じに狭くてとても居心地が良いのです。このフロアは墨を使って雨だれをモノトーンで表現しています。シックですね。
屋上
屋上にはランドリーがあります。長期滞在でも安心ですね。上田さんが屋上から見える景色について説明してくださいました。
日本一高いビル「あべのハルカス」や「通天閣」、ド派手で有名な「スーパー玉出」の花火ネオンを一望できます。大阪に来たという実感が湧いてくる場所ですね。椅子に座って缶ビール片手に夜景を楽しむことができます。また日本一人口密度が高い釜ヶ崎を見渡して社会問題について思いをはせることも良いと思います。
ココルームの周辺環境
最寄駅は大阪市営地下鉄御堂筋線動物園前駅です。アーケードを通って雨でも濡れずに駅まで行けます。24時間営業のスパワールドが近いので、大浴場に入りたいって人も安心です。徒歩圏内で7を超える路線が使用可能です。大阪観光の拠点としてこれほど便利なところも少ないですよ。周辺は、新世界やジャンジャン横丁、天王寺公園、天王寺動物園といった観光地に囲まれています。
まとめというかお願い
ココルームの魅力について紹介いたしました。代表の上田さんは、高名な哲学者鷲田清一さんから「不屈の人」と評される方です。日雇い労働者の街であり、困窮する老人の街でもある西成・釜ヶ崎の問題を真正面から捉え、地域と共生する拠点としてココルームを運営されておられます。それも悲壮感など微塵もなく、屈託のない笑顔で周りを巻き込みながら。私は実際に会ってみて、良い意味でとても普通の方だと感じました。
しかし現在(2016年6月)、ココルームは経営的にかなり苦戦しているらしいのです。実際にゲストハウスにはあまりお客さんのいる気配がしない。どうやら認知がされてないのが原因らしいですね。ゲストハウスがオープンしたのが2016年春で、今のところ知る人ぞ知る穴場になってしまっている。ココルームは共同住宅として登記されており、訳あって変更できないため、楽天トラベルやじゃらんなどのホテル検索に登録することができないそうなんですね。そのため宣伝面でかなり苦労しているとのこと。ゲストハウスの入り口にカードキー式のオートロックはあるし、消防装置なんかもしっかりあって、設備的には真面目に取り組んである印象があるので、もったいない感じがします。
私は微力でも応援したいと思いこのブログの記事を書きました。ココルームの魅力をもっと世間に知ってもらうためシェアやブックマークをしてもらえませんか。シェアするのは、別に私のブログでなくても構いませんよ。下にココルーム関係の参考リンクを用意しました。よろしくお願いします。そして良かったら気軽にゲストハウスやカフェとして利用してみてくださいね。
<参考リンク>
ゲストハウスとカフェと庭 ココルーム | Cocoroom Cafe Garden Guest House
https://www.facebook.com/cocoroom/
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