自分でWebサービスをつくろうと思っても、なかなか良いアイデアは浮かばないもんです。
いやアイデア自体は漠然と浮かんではいるのですが、なんかぼんやりしてるというか・・・。
多分自分自身でもそのアイデアを噛み砕けていないんだよなぁ。
そういう時は本でも読んで、頭の中を整理するのが良いかなと。
AmazonのKindleをぐるっと見回して、良さげな本をサクッと購入しました。ああ便利。世の中の全ての書籍は、早々に電子化すればいいのに。
購入した本は、「Webサービスのつくりかた」。“ゆーすけベー”というニックネームで有名な和田裕介さんの本です。
ボケて(bokete)というWebサービスを作った方で、未踏ユース準スーパークリエーター認定されてたり、IT企業をいくつも経営したりしてるすごい人です。本書に付属するサンプルコードも洒落が効いていて「大量のおっぱい画像をダウンロードするためのスクリプト」だとか。ユーモア溢れる御仁です。2012年の本なので、この分野では古典かもしれません。でも中身はまったく古く感じませんでした。
本書の見どころ
この本はエッセイ風になっていて、読み物としてもとても面白い。本書の章立ては、実際にWebサービスをつくる過程で並べてあり、Webサービス構築を疑似体験できるようになっています。
その分、各テーマへの深入りはしておらず、薄味でさらっと進行していきます。まったくのビギナーでもついていけるように平易な表現で通されています。本書では「何をつくるか」という視点を重要視しているのですが、それでいて企画プロセスに対する言及が特に薄味な気がしました。
各章立てと章毎のページ分量の割合を調べてみると以下のようになっていました。
- 第1章 心構えと下準備 25%
- 第2章 企画 6%
- 第3章 設計 7%
- 第4章 開発 49%
- 第5章 プロモーションと運用 12%
「企画」の章に割いているページが特に少ない。私はここを一番知りたいのに。やっぱりアイデア出しのノウハウは門外不出なのかもしれません。でもとても大事なことも言っています。ゆーすけベーさんが主張していることを引用すると
まず、「企画」と僕が言っているのは、次の7つの項目を決めることです。
1.哲学
2.アイデア
3.テーマ
4.コンセプト
5.名前
6.デザイン
7.内部設計
(筆者注:内容を知りたい方は、ゆーすけベーさんのブログをご覧ください。本書とほぼ同じ内容が記述されています)
ここでは各項目の詳細内容は言及しませんが、自分の漠然としたアイデアを整理して、使える企画へと昇華させる際に役にたつ枠組みだと思います。
他の章もとても面白い。
1章の「心構えと下準備」は、まさにエッセーです。ゆーすけベーさんの主義主張が一番色濃くでている章かもしれません。
ぐだぐだ言ってないで、コードを書けよ。ハゲ。
(もし、髪の毛のことを気にしている人がいたらごめんなさい)
だそうです。すいません、育毛頑張ります(そっちじゃない)。
3章と4章の設計と開発は、一気に具体的な話になります。おっぱい画像を集めるサンプルコードもここに載っています。
もし僕がおっぱい画像を集めるプログラムを作るなら、OpenCVっていう画像処理ライブラリを使って、相関度で画像を選別するかなぁ。色相(肌の色)とか特徴点(乳首?)の配置とかで相関を見て判定します。もっと今風なやり方をするならば、機械学習(人工知能の一分野)を使いますかね。すいません、脱線しました。本書ではこのようなマニアックなやり方は載っていません。
この章では、Webサービスに必要な技術的な話も乗っていますが、深入りはしていないので、参考としてさらっと読むのがいいようです。
他にこの章で自分で気になったのは、VPS(バーチャルプライベートサーバー)についての言及です。
自分で作ったWebサービスを公開するにはサーバーと呼ばれるインターネットに公開されたコンピュータが必要なんです。でも色々と種類があるんですよ。レンタルサーバやクラウドサーバ 、Paas(Herokuなど)。
ゆーすけベーさんがオススメしていたのは、VPSと呼ばれる仮想的なサーバー貸しです。調べてみると自由度と価格のバランスが良いみたい。月千円くらいの出費で色々できそう。
この章の最後に、サンプルアプリが乗っているんですが、Twitter APIや公開されたライブラリを使って、自分のタイムラインをアニメのイカ娘の口調に変換するWebサービス。こういうのをサクッと作れるのは面白いなあと思います。
最後の第5章のプロモーションと運用は、大事なことだけど、私にはまだ必要ないかな。必要な時がくれば読み返します。
まとめ
本書には一貫してユーモアとモノづくりの楽しみが溢れています。自分でも作れるかもという敷居の低い語り口が魅力でした。